100社超の導入で分かったシェアリングエコノミーサービス立上げの秘訣



この記事の対象者

・新規にシェアリングエコノミーサービスを作りたいスタートアップ、もしくは新規事業担当者
・シェアリングエコノミーサービスの立上げ相談を受けている開発者、SIer
・シェアリングエコノミー関係のコンサルタント、事業企画担当者

BULB株式会社の阿部友暁です。弊社ではシェアリングエコノミーサービスの立上げパッケージ、108Sharingを販売しております。このパッケージを利用することで様々なシェアリングエコノミーサービスを手軽に立ち上げることができます。

108Sharing


2015年から販売開始して2020年にめでたく導入実績が100件を超えることができました。おそらく国内最多の実績だと思います。本記事ではこの実績から見えてきたシェアリングエコノミーサービス立上げの秘訣をお伝えしたいと思います。

シェアリングエコノミーサービスのジャンル

これまでに弊社の実績の中だけでも非常にたくさんのジャンルのサービスが立ち上げられてきました。これまで構築してきたジャンル別のサービス数の割合としては以下のようになります。
シェアリングエコノミーのジャンル別サービス数

  • 物:メルカリのような物のシェアリングです。BtoC、CtoC様々なジャンルがあります。
  • 人・仕事:クラウドワークスのようなスキルマッチング系です。業界特化型、地域特化型など様々なパターンがあります。
  • 場所・スペース:airbnbのような民泊や、スペースマーケットのような場所のレンタルです。駐車場・駐輪場、倉庫、荷物置き場などがあります。
  • 観光:旅行ガイドや観光スポット紹介など、主にインバウンドをターゲットにしたサービスです。民泊の延長で進化していくことが多いです。


シェアリングエコノミーサービスの多くは、システム的としてはCtoCなどのマッチングサービスです。ユーザ間で直接商品の予約や売買を行う事が一般的です。売買を行うという点ではECのような側面もありますが、通常のECと違う点は、N対Nの取引をシステム的に表現する点です。事務局はプラットフォームの管理だけ行い仲介手数料をチャージして、売り手と買い手がそれぞれユーザ登録をしてユーザ個別の取引管理機能がある点が大きく異なります。

ECとシェアリングエコノミーの違い


売り手ユーザ側の自由度が高いため、ECよりもシステム的には複雑化する傾向にあります。結果として一般的なECよりもシステム構築コストも膨らみます。

シェアリングエコノミーのビジネスモデル

ほとんどの場合はプラットフォームとして流通取引の10~30%程度の仲介手数料をチャージするのがシェアリングエコノミーのビジネスモデルです。その派生系で広告掲載報酬を得たり、ユーザデータを使ったリサーチ事業を行ったり、業界垂直統合型での自社商品販売などをする場合もありますが、それらがメイン収益になることは少ないです。

手数料が少なくプラットフォームの管理コストが固定で発生するため、ほとんどのシェアリングエコノミーサービスは相当に大規模化しないと利益を得ることは難しいです。その代わりスケールした場合の利益は非常に大きいです。Uberやairbnbなどが良い例です。
単体で利益がでるほどにスケールするには多くの場合、少なくとも3年以上はかかります。

airbnbのユーザ増加ペース
airbnbのユーザ増加ペース

資金調達で凌げれば良いですが、難しい場合は副業で凌ぐか、プラットフォーム単体の収益以外の活用方法を探すなどの道を探します。シェアリングエコノミーサービスの提供者は既存の何らかの本業をもっていてその余剰資産の活用として始める場合も多いので、その本業のほうの営業ツールや宣伝ツールとして初期のシェアリングエコノミーサービスを活用する場合も多いです。

システム機能で差別化要素は作れない

ほとんどのシェアリングエコノミーサービスの基本的なシステム機能に大きな差はありません。大体が、検索して予約して決済して取引管理して、みたいな機能です。余程の大規模にならない限りはシステム面は差別化要素にはなりません。ビジネスとして商流をもっているか、業界内のアセットをもっているか、サービスがペインを捉えているか、などが初期の差別化要素になります。システム機能が付加価値を持つのはもっとずっと先の話です。

そのためMVPを検証する段階ではシステムに大きなコストをかけずに、ビジネスサイドにコストの大半をかけるべきです。我々はその思想でスモールスタートが可能なクローンスクリプトを提供しています。

サービス立上げに失敗するケース

シェアリングエコノミーサービスの参入者は、ITサービスそのものを初めて構築するケースが多いです。そのためITサービス立上げのお作法があまりわからず、結果として意図するサービスを作ることができずにサービスリリース前に終了してしまうケースも多いです。
既存の素晴らしいノウハウやアセットをもって業界に参入してきて、せっかくお金と時間をかけて構築をするのに、
・初めてつくるITサービスにテンションがあがりすぎて機能を盛り盛りにしていつまでも完成しない。
・開発部隊とコミュニケーションがうまくとれずにスケジュールやタスク管理ができない。
・期待値のコントロールがうまくできずに意図しない成果物ができてしまう。
・デザインにこだわりすぎて自己満足なサービスになってしまい、本質的な価値への投資を見失ってしまう。
みたいな事がよく発生します。前述の通り、シェアリングエコノミーサービスでシステムが付加価値を産むのはずっとあとの段階です。最初は機能面は極力妥協してクローンスクリプトで簡易に構築する内容で十分です。

コストがかかるポイント

シェアリングエコノミーサービス構築時にシステム的なコストが膨れるのは以下の点です。

1.予約/決済
2.UI実装
3.取引管理
4.事務局管理画面

これらのほとんどはMVP時点では詳細に実装しなくても十分サービスは成立します。
予約や決済は申し込み送信だけができるようにしておけば良いです。決済は実装しなくてもどうせ最初はユーザ数は少ないので無料キャンペーンにしても良いですし、MVP時点では参加してくるのはほとんど身内ユーザでしょうから銀行振込でも現金払いでもなんでも対応できるはずです。

UIも最初から作り込む必要はありません。どうせリリースして初期ユーザに使ってもらったあとにすぐ変えたくなりますから、最初はクローンのデフォルトのままでいっても大丈夫です。

取引や事務局の管理機能も最初から作り込まなくても必要になってから作れば十分間に合います。必要なデータがあれば最初は都度エンジニアに依頼して出力してもらいましょう。

MVPとして必要な機能

上記のとおり、MVP時点で多くの機能を妥協して本当に必要な機能に集中すれば初期コストを抑えることができます。シェアリングエコノミーサービスがMVPとして検証すべきは、本当にそのサービスにユーザニーズがあるかどうか、です。

これらを検証するだけであればごりごりにシステムを作り込む必要はありません。N対Nではなく、1対Nで売り手ユーザは全部事務局が用意しても成立します。予約や購入の申し込みもメールフォームだけあれば大丈夫です。airbnbも最初はブログ記事に自分の家を一軒掲載してそこに泊まりたい人を募集しただけでした。

airbnbの最初期のサービスサイト 1ブログ記事だけで完結


コストとロードマップのイメージ

目指すビジネスの形にもよりますが、パターンに分けると成功するためには以下のようなコストとロードマップがあります。

1.個人運営x趣味の延長 

成功判断 個人趣味の充実化、技術勉強


2.中小企業 x 既存アセット活用の新規事業 

成功判断 既存事業の拡大、サービス単体マネタイズ

3.大企業新規事業 / スタートアップ新規事業 x スケール狙い

成功判断 サービス単体マネタイズ

よくあるのが、2の参入で3を意識しているケースです。この場合は資金力が全く足りず、すぐに手詰まりになります。途中で気づいてスタートアップファイナンスを勉強される方もいますが、ほとんどの場合間に合いません。結果的に2でサービス閉鎖されるケースが一番多いです。

まだまだ書き足りませんが、我々は上記のような経験を踏まえてシェアリングエコノミーサービス立上げのコンサルティングや開発支援を行っています。新規にシェアリングエコノミーサービス立上げを考えている方、もしくは一緒にシェアリングサービスを作りたい方は是非ご連絡ください!

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